シーメンスAGは、「Accelerating High Value Growth(高付加価値成長の加速)」と題したバーチャル・キャピタル・マーケット・デーの一環として、新たな成長戦略を発表します。この戦略は、意欲的な新しい財務フレームワークの目標も反映、包括的なサステナビリティ・アジェンダも含みます。
「リアルとデジタルを融合させることで、お客様にメリットを提供することができます。この独自の能力により、シーメンスは他社にはない方法でお客様をサポートすることができるのです」とシーメンスAGの社長兼CEOであるローランド・ブッシュは述べています。「デジタル化、オートメーション、サステナビリティは、私たちのビジネスの成長エンジンです。ここでは、コアビジネスとデジタルビジネスが互いに補強し合い、好循環を生み出しています。この効果は、より収益性の高い成長を実現するための成長戦略の基盤となります。テクノロジーに特化した企業として、私たちはすべての市場で地位を強化し、収益性の高い隣接市場に参入したいと考えています。そして、私たちは今、サステナビリティに対する義務をこれまで以上に明確にしています。世界的な重要課題に直面する中、私たちはお客様、ステークホルダー、そして社会に対して明確な付加価値を生み出しているのです。」
「テクノロジーに特化した企業への変容を成功させた後、私たちは新たに野心的な財務目標を設定しました。収益性の高い成長をさらに加速させたいと考えており、同時にフリー・キャッシュ・フローにもこれまで以上に注力しています。インダストリービジネスにとどまらず、より高い透明性と明確性を提供します」と、シーメンスAGの最高財務責任者であるラルフ・P・トーマスは述べています。「高い投資適格性は、高付加価値の成長を加速させるための重要な成功要因であり、私たちはこの格付けを維持することを確約しています。さらに、シーメンスは、自社株買いプログラムの継続と累進的配当政策に基づいて、魅力的な総株主利益率を確保し続けています。」
「サステナビリティは私たちのDNAそのものです。それは必然であり、ビジネス上の緊急課題です」と、シーメンスAGの最高人事責任者、最高サステナビリティ責任者、取締役のユーディト・ヴィーゼは説明しています。「これまでの成功の実績をもとに、さらに意欲的な目標を設定しました。私たちは、すべてのステークホルダーのために、価値を大幅に向上させるべく、努力を加速し、水準を高めていきます。持続可能なビジネスの成長は、人々と地球のために私たちが創造する価値と密接に関係しています。」
シーメンスは、資源効率と脱炭素化のための優れた製品を提供することで、お客様がサステナビリティの目標を達成するのを支援する独自の立場にあります。
重要な課題としてデジタルトランスフォーメーションに注力
シーメンス・エナジー株式会社の分離独立(2020年)を経て、現在のシーメンスは、産業、インフラ、交通、ヘルスケアに取り組むテクノロジーに特化した企業となっています。その結果、シーメンスは、世界経済のバックボーンを形成し、現代の重要な課題であるデジタルトランスフォーメーション(DX)とサステナビリティを強化する、大きな可能性を秘めた分野で活躍しています。シーメンスには、企業や経済が生産性、効率性、柔軟性、サステナビリティを高めるために必要な技術があります。
デジタルインダストリーズ、スマートインフラストラクチャー、モビリティ、Siemens Healthineersの各分野で対応可能な市場規模だけでも、4,400億ユーロに達します(2020年を基準とした場合)。これらの市場は、2025年まで年率4%~5%の成長が見込まれています。深い専門知識とデジタル能力の密接な相互作用により、シーメンスはこれらの市場で地位をさらに拡大するための理想的な前提条件を備えており、これらの市場で利益ある成長を続けようと努力しています。
同時に、シーメンスは非常に魅力的な、1,200億ユーロ規模の隣接市場への参入を目指します。これらの市場において、オーガニックな増加(自然増)とそれ以外(買収など)を組み合わせて、成長を図ります。電子部品の世界的な市場をリードするSupplyframeの買収や、変革をもたらすバリアンの買収は、その顕著な例です。
革新的な技術 を全社にわたり活用
リアルな世界とデジタルな世界を融合させるシーメンス独自の能力は、3つの要素に基づいています。専門家の深い専門知識を活用し、特定の産業向けのデジタルアプリケーションを開発します。また、全社的に使用されるコア技術を推進するために、専門知識をプールします。そして、お客様、パートナー、新興企業を含む強力なエコシステムにより、お客様志向のイノベーションを市場に投入する上で競合他社を凌駕します。
これらを達成するために、技術ポートフォリオを急速に推進しています。ソフトウェアおよびオートメーションソリューション、最先端のIoTプラットフォームに加えて、人工知能(AI)、デジタルツイン、5G、産業用エッジ、サイバーセキュリティなどの分野のコア技術です。シーメンスは、コアビジネスとデジタルビジネスを今後一層強化し、市場平均を上回る利益成長が期待されます。将来的には、2020年度のデジタル分野の売上高53億ユーロから、2025年までのビジネスサイクルの中で、年複利成長率約10%を見込んでいます。
ソフトウェア・アズ・ア・サービス(SaaS)へのビジネスモデルの転換
デジタルインダストリーズ(DI)は、2022年度より、ソフトウェアビジネスの多くの部分をソフトウェア・アズ・ア・サービス(SaaS)に移行し、確立されたパフォーマンス指標に加えて年間経常収益(ARR)の報告を開始するなど、ビジネスモデルの抜本的な変革を進めます。DI Softwareは、お客様のデジタルトランスフォーメーション(DX)の加速を支援するため、アクセス性の向上、容易なコラボレーション、無制限の拡張性を可能にする新しいSaaS製品を導入する予定です。SaaSへの移行は、DIの収益をより強靭で予測可能なものにします。特に中小企業において複雑なITインフラへの投資を削減し、新たな業界、ユーザー、お客様へのアクセスを可能にすることで、成長を促進します。
DEGREE -サステナビリティへの明確なコミットメントと意欲的な目標
シーメンスは、脱炭素化(decarbonization)、倫理(ethics)、ガバナンス(governance)、資源効率(resource efficiency)、公正(equity)、雇用可能性(employability)を表す、DEGREE(デグリー)と呼ばれる新しいフレームワークで、サステナビリティへのコミットメントを明確にしています。この新しいフレームワークは、世界中の事業のすべての活動に適用されます。
シーメンスは、サステナビリティへの意欲の証として、環境・社会・ガバナンス(ESG)の観点から、体系化され、測定可能で具体的な長期目標を掲げています。さらに、投資判断のための新たな戦略課題として、サステナビリティのテーマを公式に採用しています。
シーメンスは、その技術ポートフォリオを活用して、産業の運営、ビルや送電網のインフラ、交通、ヘルスケアのデジタルトランスフォーメーション(DX)において官民をサポートするとともに、カーボンニュートラルな経済への移行を推進するために、説得力のある事例をあげつつ、革新的なソリューションを提供します。これらの技術は、お客様のより少ない資源での目標達成をサポートをします。
2015年、シーメンスは、2030年までに自社の事業活動においてカーボンニュートラルを達成することをコミットした、世界初の事業会社の一つとなりました。それ以降、既にCO2排出量を半分以上削減しています。一方、シーメンスは、バリューチェーン全体で物理的な脱炭素化に向けた既存の活動を強化しており、Science-Based Targetsイニシアチブが提唱する、データに基づく削減経路を追求しています。このアプローチにより、当社の気候保護の取り組みは、パリ協定の最高レベルの目標と一致します。シーメンスはサプライチェーンにおいて、2030年までに排出量を20%削減することを約束しており、2050年までにカーボンニュートラルなサプライチェーンを実現することを目指しています。また今後10年で、循環型社会の実現に向けてさらに前進し、例えば、金属や樹脂製造用の再生資源の購入を明確に増やしていきます。
DEGREEには他にも多くの目標が含まれています。例えば、従業員の長期的な雇用可能性を守ることや、インクルージョン、尊重、平等な扱いを促進することなどです。同社は、2025年までにトップマネジメント層の30%を、女性が占めるようにするという目標を宣言し追求しています。同時に、シーメンスは全従業員の教育・訓練への投資を続けていきます。全世界で年間約2億5千万ユーロ(Siemens Healthineers AGを除く)をこれらの対策に投入しています。
意欲的な新財務目標で高付加価値の成長を加速
シーメンスは、2022年度から始まる最新の財務フレームワークにおいて、より高い透明性と明確性を確保しながら、さらに野心的な財務目標を設定します。シーメンスは特に、3年から5年のビジネスサイクルにおいて、グループ収益の比較可能な年間成長率を5%~7%(前回は4%~5%)にすることを目標としています。その結果、市場を明らかに上回るペースでの成長を計画しています。購入価格配分前の1株当たり利益(PPA前のEPS)は、1桁台後半の年率で成長する見込みです。したがって、相対的に、PPA‑前のEPSは、収益よりも速く成長することになります。また、利益をフリー・キャッシュ・フローに変換するという目標を引き続き厳しく追求していきます。シーメンスは、全体の説明責任を明確にするために、キャッシュコンバージョン率の目標をグループレベルに引き上げます。また、最新の財務フレームワークの一環として、累進的配当政策を約束しています。
魅力的な市場での収益性の高い成長と構造的な改善により、シーメンスはスマートインフラストラクチャーとモビリティの目標利益率の範囲を引き上げます。デジタルインダストリーズでは、SaaS型ビジネスモデルへの移行による一時的な負担はあるものの、目標利益率17%~23%を意欲的に掲げています。将来的には、スマートインフラストラクチャーは利益率11%~16%を目指しています(前回は10%~15%)。モビリティでは、10%~13%を目標としています(前回は9%~12%)。
強力な投資適格性へのコミットメント
シーメンスの強力な投資適格性は、今後も重要な成功要因となるでしょう。また、極めて魅力的な条件での資金調達手段を確保するための前提条件でもあります。
シーメンスは魅力的な総株主利益を引き続き追求
シーメンスは、キャピタル・マーケット・デーの一環として、2022年度から5年間で30億ユーロを上限とする新たな自社株買いプログラムを開始することを発表します。加えて、シーメンスは引き続き厳しい資本配分を行っています。累進的配当政策と合わせて、これらの要因は、将来的にも極めて魅力的な総株主利益につながるはずです。
2021年度の見通し
当四半期では、好調なビジネス展開が続いています。また、4月中旬より、Varian Medical Systems, Inc.の統合を進めています。前回はVarianの買収による影響は見通しから除外していました。当期純利益の見通しは、引き続き57~62億ユーロとなっています。これにはVarianの買収に関連する負担が含まれています。
キャピタル・マーケット・デー2021の関連情報は
www.siemens.com/press/CMD2021
をご覧ください。
【参考資料】
本資料はシーメンス AG(ドイツ・ミュンヘン)が2021年6月24日(現地時間)に発表したプレスリリースを日本語に抄訳したものです。本資料の正式言語はドイツ語・英語であり、その内容および解釈については両言語が優先します。原文プレスリリースおよび関連資料は以下の URL よりご覧いただけます(英文)。
https://sie.ag/3xD4XTI