「シーメンスのエネルギー事業を独立した会社にすることは、私たちのVision2020+戦略を成功させる重要なマイルストーンです」とシーメンスAGの社長兼CEOジョー・ケーザーは述べています。「ヘルスケア事業の価値が著しく向上していることは、より焦点を絞ることで大きな可能性が得られることを示唆しています。これはシーメンスエナジーと産業向けの事業に集中する新生シーメンスAGの双方に言えることです。我々が予測している大規模な技術革新に備え、シーメンスグループ会社が再編成していく上で、今や重要な段階に来ています。」
エネルギー分野で独自の体制を整えたグローバルプレーヤー
計画されているシーメンスエナジーの株式公開は、サービスビジネスを含むエネルギーバリューチェーン全体で事業を展開する、強力で焦点を絞ったグローバル企業を誕生させます。シーメンスエナジーは、独自の体制によって顧客企業のニーズに迅速に対応できるので、二酸化炭素排出量を大幅に削減しながら、世界的に高まるエネルギー需要に対応することができます。シーメンスAG自体は、将来的にデジタルインダストリーズ、スマートインフラストラクチャーと シーメンスモビリティに集中します。ヘルスケアテクノロジー事業を担うSiemens Healthineersは、診断と治療の画像処理、検査室診断、分子医学、およびヘルスサービスに特化する別会社として、2018年3月に株式上場しました。
新たなシーメンスエナジーは、世界中に約91,000人の従業員を擁し(2020年3月31日現在)、製品には、コンバインドサイクルタービン、ジェネレーター、トランスフォーマー、コンプレッサーなどが含まれます。風力タービンの分野では、シーメンスエナジーはシーメンス・ガメサ・リニューアブル・エナジーAGの株式の67パーセントを保有することで、再生可能エネルギーの世界市場のリーダーとなります。2019年9月30日時点で、シーメンスエナジーの受注残は770億ユーロに達しました。2019年9月30日発行の任意財務諸表によると、シーメンスエナジーの2019年度の売上高は約290億ユーロでした。約3億ユーロの解雇費用を除外すると、調整後のEBITAは約13億ユーロでした。
シーメンスエナジーの投資適格格付け目標
発足と同時に、シーメンスエナジーは非常に堅実な資金で賄われることとなります。新会社は最初から多額の資本と流動資産を自由に活用できるようになります。その目的は、堅実な投資適格信用格付けの要件を満たすことです。任意に作成された2020年3月31日付のシーメンスエナジーAGの結合財務諸表によると、自己資本は約173億ユーロ(IFRS)で、自己資本比率は37.8パーセントに相当します。シーメンスエナジーは約62 億ユーロ相当の流動資産を備えています。この金額の内、約41億ユーロが分社までの期間で負債の決済に充てられます。更に、銀行コンソーシアムは、30億ユーロの回転信用ファシリティを承認しました。
優れた戦略的および財務的状況
「シーメンスエナジーはビジネスの運営や戦略だけでなく、財務的にも優れた状況にあります」と シーメンスAGのCFOであるラルフ P. トーマスは述べています。「同社はシーメンスAGとは独立した戦略を徹底して推進し、市場での独自の資金調達を確かなものにします。 分社化により、株主は新会社の将来的な成功で利益を直接に得ることができます。同時に、 シーメンスAG株のコングロマリット・ディスカウントも解消されると信じています。」
「世界のエネルギー市場は根底から変化を遂げている最中なので、手頃な価格で信頼性の 高いエネルギーのニーズは高まり続けています。現在、8億5,000万の人々が電気を利用できない状況にいます。需要は絶えず高まっていますが、CO2排出量を抜本的に削減する必要もあります。これは難題ですが、チャンスでもあります。ソリューションを提供し、バリューチェーンのすべてのセグメントで顧客企業をサポートできる統合エネルギー会社をシーメンスエナジーによってつくり上げていくのです。」とシーメンスエナジーAGのCEOであるクリスティアン・ブルフは述べています。
契約によって保護された独立性
分社した後、シーメンスエナジーは独立して経営されます。シーメンスAGと合意署名がなされた、いわゆる統合解除契約によってこの立場が保証されます。この契約条件に基づき、シーメンスAGは新会社に対する直接的または間接的な支配権の行使を控えるよう義務付けられます。とりわけこの合意では、シーメンスエナジーAGの監査役会がシーメンスAGの代表者を3人以下とすることを要求しています。更に、投票権は特定のトピック、特に監査役の選出などに関する決定が、シーメンスエナジーAGの他の株主の希望に反して一方的に実施できないよう制限されます。
監査役会への優秀な人材の任命
分社後、シーメンスエナジーの監査役会は20名で構成されます。10名は株主を代表し、残りの10名は従業員を代表します。分社前に、シーメンスは監査役会の株主代表として役割を果たすために、既に政界、実業界、およびエネルギー業界から優秀な人材に協力を求めることができました。Dr.クリスティーン・ボルテンランガー、シグマル・ガブリエル、ギーシャ・ヒメネス・ウイリアムズ、Dr. ウーバート・リーンハルト、ヒルデガルド・ミュラー、ローレンス・ ミュリエ、ランディ・ズィルンなどです。ここでは、関連する専門性だけでなく、多様性とグルーバルな考え方を確保することに特別な配慮がなされました。
ジョー・ケーザー、ラルフP.トーマスとスマートインフラストラクチャーのCOOであるマティアス・レベリウスは、シーメンスエナジーAGの監査役会でシーメンスの代表としての役割を果たすように指名されました。予定では、ジョー・ケーザーが監査役会の会長に選出され、ラルフ P. トーマスが監査委員会の委員長を務めることになっています。
シーメンスの強力なエコシステムの一部
シーメンスとシーメンスエナジーは、業界標準に沿った様々なライセンスおよびサービス契約を締結しています。シーメンス エコシステムの一部として、シーメンスエナジーは引き続き 「シーメンスエナジー」と「シーメンス・ガメサ」のブランドを使用します。シーメンスエナジーはブランドの使用に対して、収益の0.3%から1.2%のマージンベースのライセンス料(シーメンス・ ガメサを除く)を支払います。2020年度に支払われるライセンス料は数千万ドル半ばとなる見込みです。
移行期間中、シーメンスエナジーは、人事、経理、購買、ITなどの分野や研究開発の一部選択された領域でもシーメンスAGが提供するサービスを利用します。期間全体では、関連する暫定サービス契約(その殆どが数年にわたって実施される) と長期サービス契約の総額は約10億ユーロになります。
魅力的な配当方針を追求
最初の段階では、シーメンスAGの株主がシーメンスエナジーAGの55パーセントの株式を保有します。シーメンスAGは35.1パーセントの株式を、完全子会社のシーメンス・べテイルリンゲン・インランド(SBI)GmbHがその内の12パーセントを保有します。更に、9.9パーセントがシーメンス・ペンション・トラスト e.V.によって保有されます。シーメンスエナジーは、純利益の40から60パーセントの年間配当を株主に分配する予定です。結果として、シーメンスエナジーAGはシーメンスAGと同様に、魅力的な配当方針を表明しています。法的に要求される可能性がある最小配当を例外として、シーメンスエナジーAGは、2020年度は配当の支払いを予定していません。
シーメンス株主の証券口座に自動的に譲渡される新株式
計画されたシーメンスエナジーの分社により、シーメンスAGの株主は2つの上場企業の株式を保有することになります。その結果として、それぞれの企業の事業活動への投資を個別に独立して決定できるようになります。上場が完了した際に、シーメンスエナジーAGの新株式は自動的にシーメンス株主の証券口座に譲渡されます。配分比率は2:1であるため、奇数の株式を所有するシーメンス株主は、いわゆる端株を受け取ることになります。これに該当する株主は、証券口座の管理銀行に買い注文または売り注文をすることで株式の端数を処理することが可能です。
【参考資料】
本資料はシーメンス AG(ドイツ・ミュンヘン)が2020年5月26日(現地時間)に発表したプレスリリースを日本語に抄訳したものです。本資料の正式言語はドイツ語・英語であり、その内容および解釈については両言語が優先します。原文プレスリリースおよび関連資料は以下の URL よりご覧いただけます(英文)。
sie.ag/2XtHBzs